ジム、雑誌などで見ていて気づく方もいると思うが、継続的に発達を続けている人もいれば一方、何年経っても同じ体のままの人もいる。どうしてなのか?トレーニング方法、食事、サプリメント、これら全てが筋発達に深く関わってくるが、何と言ってもオーバートレーニングが筋発達を遅らせ、時には阻害する、最もマイナスの要素であると言える。つまりオーバートレーニングを避けることがストレングス・レベル(筋力)を向上させ筋肉をつける最良の方法である。

トレーニング時間をむやみに長時間(人によっては2時間以上行う等)行ったり、それに加えむやみに高重量の負荷で行い回復能力を超えて行うことが原因と言える。ほとんどの人は筋発達の為のトレーニングを行った場合1時間以内で限界があり、もしそれ以上行えるとしたら明らかにトレーニング強度が低い筋持久力のトレーニングである。(全日本のトップレベル、あるいはプロのボディビル選手でもトレーニング時間が1時間以内の選手は多い)

適切な、又は個人に合わせて作られたトレーニング・プログラムに従っている場合、トレーニング・インテンシティー(強度)と休息のバランスがとれている場合には、アナボリック状態(タンパク同化しやすい状態)になっている。しかしトレーニング・インテンシティーがあまりにも高い場合、又はワークアウトがあまりにも頻繁な場合、体はトレーニングストレスを受け止め切れなくなりカタボリック状態と言って、貴重な筋肉が分解されエネルギーとして使われてしまう状態となる。それだけでなくオーバートレーニングは又、天然のアナボリック・ホルモンであるインスリンに、不利に作用する。

インスリンは、それぞれの食事で、タンパク質と炭水化物をバランスよく摂る事によって分泌される。例えば、魚とご飯を食べた場合がこれに当たり、理想を言えば15回、いずれもタンパク質と炭水化物を含んだスモール・ミール(腹八分目程度の食事)を摂るべきである。スモール・ミールは、消化吸収がよくインスリンを継続的に分泌させ、脂肪の蓄積を最小限に抑えてくれる。インスリンは体内でも最も大切なアナボリック・ホルモンだと言われている。その働きはアミノ酸や炭水化物を回復や発達の為に筋肉に運ぶ事である。ところが、コルチゾールやグルカゴン等のカタボリック・ホルモンが過剰になると、アナボリック・ホルモンが抑制されてしまう。食事を抜いたり、過度にトレーニングしたり、低炭水化物ダイエットを行ったりした場合、これらのいわば筋肉を破壊するホルモン(コルチゾール、グルカゴン)が優勢になり結果として筋肉を失ってしまう事になる。

次回は、オーバートレーニングの兆候や症状を分かりやすく簡略化してまとめてみたい。運動生理学者たちが、トレーニングに役立つようにオーバートレーニングの兆候や症状を一覧表にしたものが何種類もあるが、ここでは分かりやすく簡略化して5つにまとめてみる。これでオーバートレーニングは避けられるのではないかと思う。